絶対零度の鍵
外に出ると、グスたちがわらわらと走っている。
「あいつらの後を尾けるわよ」
既に飛ぶような速さで走る右京が僕にこっそり耳打ちした。
けど、残念ながら、腕を引っ張られながら凄まじい速度で走っている状況で、僕に返事をする余裕はどこにもなかった。
グスたちはどんどんと広間のある場所から反対にある地下通路へと向かっている。
「ははーん、とりあえず地下牢かなんかに閉じ込めて置いているのかしら。」
「ち、ち、地下牢!?」
右京の言葉に僕は驚いて、息を切らしながらもなんとか訊き返す。
「あぁ、安心して。たぶん客人として丁重に扱ってはいると思うから。」
それとは正反対に、右京は呼吸ひとつ乱していない。
「ただ収容するのに、地下牢を使っているだけでしょう。数がわからないから。」
地下へ続く階段を駆け下りながら、そう付け足した。