絶対零度の鍵
何も答えない僕を不思議そうに一瞥し、僕の目線の先を右京が辿る。



「っあああああああーーーーーーーーー!!!!!!!」




その瞬間、右京の絶叫がその場を震撼させた。




グスたちも、勿論僕も、余りのでかい声にその場で耳を塞いで仰け反った。




「右京!声がでかいよ!」





慌てて、人間達もこちらを見ているんじゃないかと僕は確認するが。


青で包まれた広間は、向こうからこっちを見ることはできないらしく、人々はさっきと変わらず、話に没頭している。




要はマジックミラーのようなものらしい。




「だ、だ、だって!!!クミ!!!あそこに!!!あのブスが!!!」




絶対楽しんでるに違いない右京が、興奮しながら指差す。



その先には―。





「尭…」




そうなのだ。



僕の厄介な幼馴染み、田中尭と。




「溝端…」



これまた厄介な、悪友。




溝端淳が、居たのだ。

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