絶対零度の鍵
「とにかく、ここで踏ん張ってて!あたし外見てくる。」
右京がそう言ってゆるりと飛んでいくと、部屋のドアが自動的にぱっと開いた。
閉まる直前にちらりと見えた廊下は、グスたちが滑って、てんやわんやしていた。
「右京ちゃん…飛んでたな…」
ずれ落ちそうな眼鏡を抑えつつ、溝端が冷静に呟く。
「う、うん、、なんか、ほんと…ちょっと私自分の頭心配になっちゃったけど…現実っぽいね…」
尭の言葉に、僕は予想よりずっと早く、この二人は目の前のことをありのまま受け入れるだろうと思った。
しかし。
一体、この原因不明の揺れは何なんだ?
僕は、必死に考える。
この国で果たしてこんなでかい地震は、珍しくないことなんだろうか。
右京にちゃんと聞いとけば良かった。
そしたら、この意味不明な胸騒ぎは、もう少し治まっていただろうに。