絶対零度の鍵
パリンッ
最後の蝶番が、外れた音がした。
「卓っ!!!!」
溝端の呼ぶ声と、悲鳴のような声が響く。
掴んでいた手から、力が抜け、止まっていた血が中でどくどくと流れ出したのがわかるようなわからないような。
お前等、後はなんとかしろよ。
あろうことか、僕は笑った。
絶叫系の乗り物は、昔から苦手なんだよな。
この、内臓が浮く感じが、大嫌いなんだ。
け、ど。
「…あれ?」
扉は確かに僕よりも下に落ちていった。
なのに、僕の視界は、一向に城の窓際から遠退いていかない。
何より、僕の身体に胃が浮くような感覚は無く。
強い浮力が加わっている様に、僕は何故かその場で止まっていた。