絶対零度の鍵
蓮貴の掌を、全員が固唾を呑んで見守る。



と。



蓮貴の左手の指が時計回りとは逆の方向へと、回された。




くるり。




「あっ、あれは―」




右京が何か言いかけたが、その声は直ぐにかき消される。



何故って。



世界が、回転を始めたから。




ひどい眩暈を起こしたかのような、空と地上の繰り返し。



小学校の鉄棒をやった時を思い出す。



ぐるぐるぐるぐる。



逆さになったまま、夕陽を見たりなんかして。



強い吐き気に襲われたけど。



吐くよりも気を失う方が、早かった。



ありがたいことだ。

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