絶対零度の鍵


一体、どこなんだ。ここは。



思いながらも、反射的に細めた目が、明るい陽射しに慣れるまでには時間がかかる。




それに、動きたくても、指一本すら、動かせる気がしないほどに、力が入らない。




喉の奥もからからだ。





草の匂い、次いで水の匂いが鼻腔に広がる。




生温かい、空気。



小春日和っていうんだよな。こういうの。



そよそよと時折頬をかすめていく風も心地よい。




しかし。



痛い。




ずくずくと広がる痛みだけが、穏やかな空間に不釣合いだった。


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