絶対零度の鍵
「蓮貴様は、今日はお出かけになられているようですよ。」
玄が運んできてくれた昼飯を平らげている際、蓮貴はどうしているか訊ねたらこういう答えが返って来た。
「あ、そうなんですか…」
言いながら、珍しいな、と思っていた。
僕が目を覚ましてからというもの、蓮貴は大体の行動を僕と一緒にしてくれていたからだ。
「あのー…僕が倒れていた場所って、、わかります?」
体調も大分良くなり、体力も回復しつつあったため、特に自由にして良いと言われた僕は、ひとりであの場所に足を伸ばしてみようと考えた。
「はて、、存じ上げておりませんが…」
玄は渋い顔をしている。
「なんか、、くぼんだ所だったみたいですけど…ちょっと開けてて、水の音がしました」
僕はもうないに等しい記憶を懸命に思い出しながら、玄に心当たりがありますようにと願った。