絶対零度の鍵
とても、大切なことを。
余りの激痛に、頭を抱えるようにしてその場にうずくまった。
膝が、池の水に当たり、衣服が濡れていく。
このまま、いっそのこと池の中に落ちてしまった方が楽なのではないか―
そんな風に思った瞬間、
「ちょっと…大丈夫?!」
斜面を滑るような音と共に、女の子の驚いたような声が聴こえた。
「しっかりして!」
視界が暗く、ふらふらとする中、僕は女の子が肩を抱き、背中をさすってくれているらしいことに気付く。
すると、どうしてか、発作のように僕を悩ませていた痛みは和らいでいき、浅い呼吸とびっしょりとかいた汗以外は治まった。
「ありがとう…」
懸命にさすってくれている彼女から、やんわりと離れ、御礼を述べると、彼女の顔がはっきりと見えた。