絶対零度の鍵

但し。




「全部…割れてる…」




恐らく全ては栓をされた状態で、行儀良く整列していたのだろうが。



散乱している瓶は割れて、中の結晶の大半は溶け始めている。



既にその形を失っているものも多数あった。



そして―




「何、これ…」




右京は息を呑む。




棚の向こうにある固い石で出来ている壁には、優に3mはあるだろう何かの爪痕が、くっきりと刻み込まれていた。
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