絶対零度の鍵
「おい右京、タクミだけじゃないんだぞ?」
彼女のすぐ脇で、同じく片翼の男が突っ込みを入れる。
「左京は黙ってて!」
右京は噛み付くように横目で左京を睨みつけるが、直ぐに視線を男に向けた。
しかし、最初から男は一度として口を開こうとはしなかった。
緊急事態は予想していたよりも早くに生じた。
「まさか、、時を混同させるとはな…」
忌々しげに吐き捨てた白髪の王は、自ら大きな結界を張り、被害が民に及ばないように力を使っていた。
赤髪の王も同じようにしていたが、世界はとっくに破壊されている。
王族が力尽きれば、結界も消える。
時間の問題だった。
優秀な家臣を一人、失った。
誰一人、無傷ではない。
そう、無言の男、蓮貴だけを除いては。