絶対零度の鍵

《こっちもなんだ》




左京の真剣な声に、ほっとした思いがたちどころにしぼむ。




「?どうしたの?」




《今…鍵師の居所を絞り込めないかと思って色々情報を集めていたんだけど…》



少しの沈黙の後に、左京がはっきりと言った。




《鍵師は旅になんか出ていない。どうも誰かに連れ去られたらしいんだ》




ピチャン、ピチャン




幻雪の結晶が溶けて雫となる音が、辺りにやけに大きく、響いていた。
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