絶対零度の鍵
それに対し、右京は「ん」とだけ言って、直ぐに急降下し始めた。



そして、蜻蛉の傍に寄り、何事か耳打ちすると、直ぐに王達に合図を送る。




チャンスは一度、だ。




ひゅっと、いつになく感じる緊張をほぐすために息を吸った。






―クミ。




今、ここに居ない少年に、無意識に語りかけていた。





―今、何処に居る?





クミが言ったように、蓮貴はもしかしたら、そんなに悪い奴じゃないのかもしれないね。




話し合えたら、最高だったのかも。





でも。



でもさ。



現に、ここに、クミが居ないじゃない。





あたしさ、結構、、怒ってんだよね。
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