絶対零度の鍵
さて、何といえば良いだろう。
やはり、さっきまで起きていたことは、夢ではなかったらしい。
と、すると、自分は今どこに居るのだろう。
皆はどこへ行ってしまったのだろう。
考えることは沢山ありそうだ。
「実は…私も迷ってここに来てしまったの。ここが何処か教えてもらえる?」
至極真っ当な質問だと思ったのだが、目の前の少女はおかしそうに笑う。
「迷ってここに来る方なんて、いませんよ。ここは、温度師の村で、その一族しか入ることが許されていないのですから。」
温度師、か。
自分の中で、このワードは新しい。
確か、卓毅のお兄さんが、そうだったとか、なんとか…
よく、わかんないけど。
その村に、来てしまった。
そして、自分は確かに温度師とは何の関わりもないのだから、この村には恐らく入れない筈だ。
でも、現に今、ここに居る。