絶対零度の鍵

二人して言葉を交わす事無く、門の外に出て、まだ寝静まっている村を歩く。



「は、花って、、、どこにあるの?」



寒さに震えながら、もういいだろうと尭が口を開いた。



虫の音もしないほど、辺りは静かで。




鳥のさえずりもまだない。



必然的にひそひそ声になる。




「お姉さんが、寝てたところです」



翠が答えたので、尭は驚愕する。



「えー!」


「しー!!」



翠に口をふさがれ、尭はもごもごと謝った。



「ご、ごめん…ちょっと驚いて…」



遠い。



この寒さの中、あの距離を歩くのかと思うと、尭はげんなりした。
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