絶対零度の鍵
「ねぇ、、一個、訊いてもいい?」
昨晩とは違い、尭も翠も横に並んで歩く。
息を吐くと白くなる現象に、こうも気温の差が激しいなんて砂漠みたいだ、と尭は思っていた。
「え、なんですか、改まって。いいですよ」
頬を緩ませて、にこにこと翠は尭を見た。
「あの、さ。その、、、これから見にいく、ユキバナ、なんだけど。」
尭は唇を舐めてから再度口を開く。
「どうして、そんなに好きなの?」
栞に貼り付けてあった花は、恐らく、元は白。
尭の見覚えのある花に、よく似ている気がしていた。
「えぇ?だって、キレイでしょう?」
翠は少し驚いたように笑って、尭に同意を求める。