絶対零度の鍵
尭が卓毅のことを意識し出したのも、ちょうど翠と同じくらいの年齢だった。



「…うん。」



目の前の美しい光景が、翠の心を素直にさせるのか、あっさりと隣の少女は頷く。



そんな彼女がかわいく思えて、尭はお節介を焼きたくなった。



「…いつ、好きって伝えるの?」



「えぇ??」



さすがに立ち入った質問で、翠は驚いて尭を見つめる。




「そ、そんな、まだ…そんな…」



しどろもどろになりながら、翠は頬を赤く染める。



そして、すぐに抱えた膝に、顎を乗せ、項垂れた。




「て、いうか…、そんなの、、、きっと、ずっと無理だから…」




元気を失くした翠に、尭は首を傾げる。




「どうして?恥ずかしい?」



自分にも経験があるので、強くは言えない。



中々すんなりと言える言葉ではない事を、重々知っている。



それは想いが募れば募るほど、そうだ。
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