絶対零度の鍵
淳は目を開けてみた。


感触は確かだったようで、砂浜のような場所にうつ伏せに自分は倒れていて、手は若干砂を掴んでいる。


あごの部分もざらざらする。



にしたって、暑すぎる。


この砂、水を少しも含んでいない。



そろっと身体を転がして、仰向けになってみると太陽の光が予想以上に眩しく思わず目を細める。



身体の痛みは大したことがない。



淳は腕を地面について、上体を起こした。






「どこだ、ここ…」




辺りを見回し、愕然とした。


目の前に広がるのは完全な砂漠。



空はどこまでも広く、果てがない。



突き抜けるような晴天に、ぎらつく太陽。




海など、ありはしない。



記憶を懸命に呼び起こそうとするが、自分でも意外なことに、ショックが大きすぎたのか、さっぱり頭が働かない。



―頭が真っ白になるっていうのは、こういうことを言うのか。



初めての現象を、興味深く感じた。
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