絶対零度の鍵
その吠え声は町の向こう、砂漠平野が広がっている箇所から響いてきている。



じっと耳を澄ますと、獣の息遣いが段々と近づいてくるのがわかる。



風を切りながら走る音が、未だに暑い大地に涼しげに聞こえる。




「きたぞー!!」




物見櫓(ものみやぐら)に居た警備隊の一人がカンカンと鐘を鳴らす。



それが合図だったようで、町のあちこちからぞろぞろと男達が大勢集まって獣を待ち受ける。



ブンッ



大気が大きく揺れる音がしたかと思うと、



ズガガァァァーン



何かが崩れ落ちた音がする。



魔物と呼ばれる野獣の尾っぽが、いとも簡単に物見櫓を打ち払ったのだ。
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