絶対零度の鍵
「蓮貴!!!!よく聞けよ!!!」



僕は生きてきた限り、こんなに叫んだことはない。



酸欠になりそうだ。



あらん限りの声で、僕は叫ぶ。




「書庫が火事なんだ!!!翠が危ない!!!」




さっきの枝で、手を切ったらしい。



滲んだ血が、扉に黒く痕を付ける。




自分の中に渦巻く感情が、星の物なのか、卓毅の物なのかわからない。





「蓮貴!!!!!」



今の状況がどうしてこうなったのか、混乱していてよく理解できていない。




だけど。



やっぱり、僕は蓮貴を嫌うことが出来なくて。



せめて、夢なのか何なのかわからないこの世界だけでも。



蓮貴の傷が、癒えたらいいのに、と願うんだ。
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