絶対零度の鍵
「クミ…」
着ている服が、居なくなる前と違う。
その上、深い傷はないとは言え、あちこち出血していた。
微かに聞こえる息の音を確認すると、右京は胸を撫で下ろす。
「良かった…」
「どこ、行ってたんだろうな?」
近くで左京が不思議そうに訊ねるが、右京にもわからないのだから、答えようがない。
「っきゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うわぁぁぁ!」
直後に男女の悲鳴が静寂を切り裂く。
「!?」
反射的に動こうとした右京を片手で制すると、左京は加速しながら叫んだ。
「蜻蛉!お前は女の方頼む!」
どうやら、他の二人もご帰還のようだ。
意識ありの状態で。