絶対零度の鍵
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なんだろう。
ふわふわと浮いているような感じがする。
誰かに抱きかかえられている。
あー、なんかこれ、安心するな。
普通は男の僕が誰かを抱きかかえるべきなんだろうけど。
やっぱり、僕は格好悪いオトコだな。
て、いうか、一体誰に抱えられてるんだ?
「…ん…?」
僕がそっと目を開けると、すぐ近くに並外れた美人が居た。
「うわぁっ」
「クミ!おかえり!」
驚いて飛び退こうとしたものの、回されている腕にがっちりと固定される。
「う、右京…」
にこにこと笑う彼女に、混同していた記憶がすっと収まるような感覚がした。
「…うん?何で僕、飛んでるの?」