絶対零度の鍵




僕の質問に、右京は何も言わず笑うだけで、地上に降り立つと、僕から手をゆっくりと放した。



最初こそふらついたが、直ぐにしっかりと立つことができた。



そして、気付く。



「右京、その肩、どうしたの?」



片翼の彼女の、傷だらけの身体に。



「ちょっと…ドジった」



べっと舌を出しておちゃらけて見せる右京。



そこに。



「ほんっとに、お前等は一体どこにいってたんだ?」



左京の声がして、溝端と尭がそれぞれ運ばれてきた。




「蜻蛉さん、ありがとうございました」



尭が丁寧に御礼を言っている。

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