絶対零度の鍵




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「大体家でちゃんと寝てんのか?!夜更かししてるんじゃないのか?!」




放課後、職員室に行くと、坂口が唾を飛ばしながら説教する。




「お前予備校行ってるんだろう?成績が全然伸びないじゃないか!!全くお前は―」




「先生」



僕は姿勢を正して、坂口をまっすぐに見る。




「な、なんだ?」



「僕、これから勉強頑張ります!」



「お、おお。なんだ、どうした急に…ま、まぁ、わかったなら、いいんだ。帰りなさい…」



突然の宣言に、坂口が狼狽える。




「はい!ありがとうございます!」



僕は元気に返事をして、職員室の扉まで行くと、振り返って―




「ちょっと言ってみたかっただけです!」




べっと舌を出して、全速力で駆け出した。




坂口の怒号が飛んできたけれど、僕は笑いながら昇降口まで走る。



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