絶対零度の鍵
終章
「―は?」
眉間に深く皺を寄せて、小さな身体に不釣合いな王座に座る少女が呟く。
一見9歳くらいに見える彼女の髪の毛は、異様な程に真っ白で、その長さは腰を軽く過ぎている。
不愉快そうに細められた瞳は、瑪瑙(めのう)の様に美しい赤褐色と白色の混ざり合うもの。
そして、その視線は今、目の前の者に真っ直ぐ向けられている。
「ですから」
そう言うと、対峙する人物は、首にかけている沢山の懐中時計の中から一つを取り出し、ぱかっと開く。
「地球の調査に出向こうと思っているのですが…その…右京殿が…ですね…」
「うちの、右京が何か?」
漆黒の髪の男は、王の視線に耐えられず逸らした。
「同行、したいと…」
直ぐに王が舌打ちする。
「あの馬鹿!」