絶対零度の鍵




王は王座から立ち上がって家臣を呼ぶ。



「右京!右京!」



が、返事はない。



「あの―…」



「ええい、黙れ!お前は調査に赴くがいい!だが、右京は許さん!」



温度師の男が言いにくそうにするのをぴしゃりと王が遮った。



「いや、その…」



「?何やら外が騒がしいな」



王の眉間の皺が深くなる。



と。


バタン!



謁見の間の扉が開いて、グスたちがわらわらと入ってくる。



「なんだ、お前達は!勝手に入ってくるとは!」




怒鳴る王に、グスたちは必死に何かを訴えている。



「…なんだと!?」



温度師はあちゃー、と額に手をやった。



「右京が居なくなっただと!?」




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