絶対零度の鍵
「うわ、ちょっと…」




何かに急かされるかのように暴走し始めた獣は、未だ自我がないように見える。


右京の飛ぶようなスピードを上回る程の速度で獣は砂漠平原を走り続けた。



何者も存在せず、ただ朱色の砂だけが延々と続いている。



どこまで行っても、景色は代わり映えしなかった。




「…どうしようかな」




とりあえずこの獣を町から離れさせたかった右京は、頭の上で揺られながら、これからの自分の行動を思案していた。



この野獣が魔物の正体だということはわかる。



だけど、どうもこの子は自分の意思で灼熱の国を脅かしているわけではなさそうに思える。
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