絶対零度の鍵
その、温度師が。
なぜ。
右京の頭はとっくにキャパシティーを越えている。
怒りに任せて掴みかかろうとした温度師はゆらりと蜃気楼のように揺れて、実体がない。
右京は苛々していた。
「何をそんなに怒っているんです?」
嘲笑うかのように、温度師は笑顔で訊ねる。
「鍵師を何処にやったの?」
右京の質問に、温度師は笑うだけで答えない。
「答えなさいよ!」
「…いちいち、大声を出さないで下さい」
温度師の眼鏡がキラリ光る。