絶対零度の鍵

「頭が悪いって言ったんだよ。聞こえたか?」




掴んだ筈の空気が少し揺らいたが、温度師はじっと右京を見据えていた。



顔を真っ赤にさせながら、右京も負けじと睨み返した。




「ただね、君らもちょっと邪魔なんだ。暑苦しいからね。今回のことで案外早く動いてくれて助かったよ。鍵は、なくしちゃ駄目なんだよ?」




何もかも知っているかのように話す温度師に、右京は思い当たる。




「あの鍵!あれもあんたの仕業なんでしょ!」




くすくす笑いながら、温度師は頷く。




「今更?だから馬鹿だってんだよ。」




右京の怒りのボルテージは最早計測不可能だ。
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