絶対零度の鍵
「君たちは一緒に居て飽きないけど、仕事するのには邪魔なんだよね。だから―」
「!?」
そう言うと、右京の前で腕組みしながら話していた温度師は姿を消し-
眠ったのかと思うほど静かだった獣が、隙を見せた右京の背中にその鋭い爪を振り下ろした。
ザシュッ
それに続き、温度師が背後から実体を現したかと思うと、右京の背中を思い切り強く押した。
「羽根はもいどいてあげたから。飛べない場所にでも行ってみたら?」
右京は肩の鋭い痛みと、闇に落ち続ける自分の身体に悲鳴をあげないよう歯を食いしばる。