絶対零度の鍵
そういや、もうすぐ夏休みだな。


僕はなんとなく、気づく。


いや、正直に言えば、今聴いている曲の歌詞がちょうどそんな感じだったから、だが。


兎にも角にも、ふと思った。


今年、流星群はこの街から観えるだろうか。

観えるとしたら、高校のグランドのベンチに仰向けになって観るか、夜中まで学校に潜んで、屋上で観るか、と。


いや、違うな。絶好の場所がある。お気に入りの、あの場所がいい。



「にしたって、暑いな。」



容赦ない陽の光が、体中に刺さるようで、思わず呻いた。


格好付けて着ているワイシャツの長袖部分、今すぐここではさみで切り取ってやりたい。


とぼとぼと、一人歩く自分はさぞかし憐れに見えるだろう。


でもそれがどうした。


そんなこと、どうだっていい。
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