SS小説(ファンタジー編)
そして独りきりになった。





静かになった崖に、最後に濃いオレンジの光が一筋刺さった。





壁ぎりぎりに近寄り、つま先の数センチを支える地面はなくなった。





ぽろりと破片が剥がれてぱらぱらと音をなす。





自然は恐ろしい。だからこそ美しいのだろうか。





俺は笑った。





そう、この光景を見るために俺は旅に出たのだ!





世界に名を轟かせるなんてちっぽけな事をするためなんかじゃない。





眼下に広がるのは自然と同化した町の姿。





きっとこの先少しだって変わらない、姿。





瞳を閉じれば浮かび上がる。この町が生きている姿。
< 6 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop