近しい華は高嶺に咲く美しき花
「分かったよ、花村」

花村が、そんな目で私を見ているなんて知らなかった。
近すぎて全く気が付かなかった。

「私、花村のことを男として見られるように努力する。だから花村も、私を大事にして?他に女性がいるとか、奥さんがいるとか言わないで?」
『当たり前ですよ。俺の一途な想いを、ぶつけさせてください』

そう言うと、花村は再び私の唇を奪おうとしたけど・・・ここは外だし、まだ勤務時間中だ。
だから私は自分の唇の前に人差し指を当てた。

「ぶつけるのは、東京帰って退社時間過ぎてからにしよ?これでも私は貴方を指導すべき先輩社員なんだから」
『・・・はい』

東京に帰ってから、私達の関係はどうなるか分からない。
そもそも、私が花村を好きになれるかどうかも、分からないんだから。

でも、今のやりとりで、せっかく精算して下がっていたパーキングのフラップが再び上がってしまった分の負担を花村にさせたのは・・・

ケチではなくて、男のプライドを優先させてあげた私の優しさと受け止めて?

ね?花村。



END
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