近しい華は高嶺に咲く美しき花
その度に先輩と一緒なんだ。
好きで、好きでたまらない先輩と。

こんな出張、日帰りとはいえ、拷問だ。

夜の街でキープしている女性とラブホテルで情交を重ねるのは、大体こんな出張の帰りなんだ。
いつまで、こんな生活を続けていればいいんだ。

でも、仕事では先輩に会わなければならない。
押し殺す毎日が続く。

6月になって、先輩は俺を飲みに誘った。
誘われること自体はそんなに珍しいことではない。

問題は行った店。

【soulager(スラジェ)】と書かれた看板。
わかば堂書店本店のすぐ近くに、こんな店があったなんて知らなかった。

中はカフェバーだけど、お客さんが誰ひとりいない。

『おや、まどかちゃんが男を連れて来るなんて初めてじゃないか?』

マスターのこんな物言いは、先輩がいかにこの店の常連であるかということが分かる。
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