近しい華は高嶺に咲く美しき花
『後輩くんだよ』
「花村大地と言います」
『俺はここでマスターをしている三輪（ミワ）と言います。へぇ。まどかちゃんはこんな爽やかな若者と一緒に仕事しているんだ』
「いえいえ、爽やかだなんて・・・僕は毎日必死ですよ、先輩について行くのに」

そんなやりとりの間に、オーダーもしていないのに、先輩と俺の前に飲み物が出された。

先輩はいつも同じなのだろう。
グラスビールが出された。

一方、俺の前に置かれたのは・・・テキーラ。
ひと口で飲めるくらいの小さなものだけど。

『食前酒だよ。君は、夕食は食べた？』
『マスター、今日一日私と一緒でここにも連れていているんだから、まだに決まっているでしょ？』
『それは大変だったね、後輩くん』
『それどういう意味よ』

先輩はマスターの言葉に顔が剝れた。

・・・その顔も好きなんだよな。
そう思って先輩を見ていた。
< 5 / 12 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop