近しい華は高嶺に咲く美しき花
「どれくらいの付き合いだったんですか?」
『5年』
「5年も?先輩を騙していたってことですか?」

それと同時にそのうちの3年以上は俺の片想いの期間と重なるんだ。

『私の5年を返せぇ』

そう言って先輩は拳を上げた。

俺も返してくれ。
だって先輩が騙されてなければ、俺は自分の秘めたる思いを伝えられたんだ。
成就するかは分からないけど。

それでも、俺は路頭に迷う一晩のアバンチュールを繰り返す必要はなかった・・・はず。

『結婚できると思ったの。その人と。でも奥さんいたんじゃ、何も出来ないじゃない。訴えたところで、正妻の方が強いに決まってる』
「忘れましょうよ、そんな人」

でも、こんな話を俺にするために、ここに誘ったの?
俺、勘違いしちゃうよ、先輩。

『花村に、お詫びがしたいの』
「お詫びですか?」

俺、先輩に謝られるようなことは何もしていない。
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