それは…好きだから。(樹生side)
それは、突然やってきた。
「おっ。彩佳」

 俺は付き合っている彼女、川島彩佳(かわしまあやか)を見つけた。

 俺、笹森樹生(ささもりいつき)は営業課で彩佳は広報課。

 部署が違うし、俺も外へ出ていることが多いから、
 社内でお互い顔を会わせることが少ない。

 ちょうど営業課のある社内の廊下、広報課の階は上だから、
 打ち合わせか会議かでここを通ったのかもしれない。

 だから今日はラッキーだった。

 ここしばらくは仕事が忙しくてデートもままならなかったから、
 少しの間でも話をしたくて、声が聞きたかった。

 笑顔を見たかった。
 
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