dracone amor
ラジスの父が治めるリュファーナ国は、森の西側に位置する。リュファーナ国のさらに西には幾つもの小国があり、各国友好な関係を築きあげていた。リュファーナ国の北には高い山脈が連なり、時折商人達がやってくる。ラジスは商人達から異国の話、そして何より森の話を聞くのが大好きだった。
森は広大でその広さは計り知れない。森へ入ると、ただどこまでも鬱蒼と繁った木々が林立しており人は住んでいない。よって、熊や毒虫にさえ気を付けていれば森はそんなに危険ということではなかったが、おてんばで好奇心旺盛のラジスが何をするか分からないので、一人で森に入ることは禁じられていた。
ラジスは森が大好きだった。どこまでも澄んだ空気や、色鮮やかな自然。リュファーナ国は発展した国だったが、故に国内では経験できないようなことが森ではできた。
ラジスは小さい頃から母に連れられて森へ来ていた。母もラジス同様、美しい森が好きで、ラジスを連れてきては木陰で“物語”を聞かせていた。
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