L'a maro e dolce amaro ~甘くて苦い恋の味 ~
所詮この恋は報われない。なのになぜこんなにも貴女のことを好きになることが出来るのだろう。

分からないのに考える。

優しさ?芯の強さ?

ぐるぐると考えるけど答えは出て来ない…。いや出そうとしないだけなのかも。

-コツコツコツコツ-

…この音。

静寂に包まてれいた踊り場に響く一定のヒール独特の音。

今日はいつもより少しだけ早いテンポが刻まれる。

私達は階段の方に目を向けた。

「遅くなってごんね。部会早く終わらせる予定だったんだけど長引いちゃって…。」

走ったのだろうか少し息が上がっている。

「遅いです。」

「あゆむさん、そんなキッパリ言わないで…。」

「キッパリ言わしてるのは誰ですか?」

またきつく当たってしまう。本当はもっと優しい声掛けをして行きたいのに。

素直に慣れない…。可愛げの無い私。

「まぁまぁ、お2人共そこまでそこまで笑。あゆむちゃん、先生に伝えたいことあるんでしょ?」

「ん?なーに?」

先生は話していると無意識のうちに相手に上半身から寄ってくる。

長身の先生にチビな私はいつも見上げながら話すのに、迫られるともう見上げるどころの話ではない。

でも可愛い顔して言われると許せるのが不思議。

多分、そこに惚れたのかも知れない。

そうして私の心を奪っていく…。

ずるいよ先生。

少しでも先生との時間を共有したい。

そんな気持ちが体中掻き立てた。
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