L'a maro e dolce amaro ～甘くて苦い恋の味 ～

そう思いながらふと､窓の外に目をやる｡

高校3年も中盤に差し掛かり教室の窓からは赤や黄色に染まった木々が見える｡

もう少しで卒業か…｡

そんな思いが頭の中をよぎる｡

卒業したら先生には会えなくなるんだよな｡

…考えたくないけどそう感じてしまう｡

このまま時間が止まり､全てこのままだったらいいのに｡

でも、残念ながらそうともいかない｡

キーンコーンカーンコーン…

気持ちを遮るようにチャイムがなった｡

「それでは今日はここまでにします｡
皆さんくれぐれも予習忘れないで下さいね｡あと､ワーク集めるので後ろから回して下さい｡」

「「はーい｡ありがとうございましたー｡」」

周りは教科書を片付け始めたりして賑やかになる｡

「あゆむさん！」

その中に先生の声が響く｡