L'a maro e dolce amaro ～甘くて苦い恋の味 ～

そんな会話をしていると莉央が教室から出てきた｡

「先輩！今なら空いているので直ぐ案内出来ますが…｡伊野先生大丈夫ですか？」

もう一度先生の顔を見ると顔面蒼白だ｡

好きな人のこんな姿を見たくはない。

「先生？無理しなくても大丈夫ですよ｡別の所見ますか？」

「…あゆむさん。本当にお化け大丈夫？」

「余裕です。」

「瑞希さんは？」

「私も平気ですよ！」

暫くの沈黙がこの辺一体を包み込む。

無理だけはして欲しくはない。心からそう願うばかりだ｡

「…じゃあ｡入ろうかな｡」

「え？だ､大丈夫ですか？」

「だって､いざとなったら逃げればいいでしょ？」

…発想が可愛すぎる｡

「分かりました｡ではいざとなったら私らが守ります｡」

「うちも！？」

「当たり前｡」

「じゃあ､3人ご案内でいいですか？」

莉央は念推しの確認を何度もして来た｡

「大丈夫だよ笑｡」

「分かりました！では」

-ガチャ-

莉央はマニュアル通りに書かれた台詞をいい終わらないうちに私達の背中を押しながら教室に入れた｡

「行ってらっしゃーい！」

-ガチャン-