L'a maro e dolce amaro ~甘くて苦い恋の味 ~
その声でやっと気付いたのか、ようやく扉が開いた。

「はいお疲れ様でーす!」

莉央は何食わぬ顔で言ってきたのでちょっとイラッとした。

「あなたねぇー、何回扉叩いたと思っているの?!」

「すみません…!今外の担当が私ともう1人の2人で回しているんですけど、その子がトイレに行ってしまって私で1人で回していて…対応が遅れました。」

中々大変だな。

「結構大変なのね…。ここクラスの人数少なくないでしょ?」

「少なくはないですが、大半がお化け役に回っています。後は部活の方にも行っていますし。」

「凄いわね。」

「そう言えば!どうでしたか?」

「ぶっちゃけ舐めてた。でも一番最後!すっごく怖かった笑。あの子凄いね!!」

「あの子演劇部ですから笑。」

なるほど、どうりで怖かった訳だ。

「伊野先生めちゃ叫ばれてましたね笑。」

「えっ…。外まで丸聞こえだった…?」

「はい!ばっちり聞こえてました笑。」

莉央中々性悪だな…。

「りーおー、だったらさっさと開けなさいよ!!先生パニック寸前だったんだから!!」

「えっ?ごめんなさい!そこまでだったとは知らずに…。」

「いいよいいよ笑。無事に出てこれたから。それよりあゆむさん。」

「なんですか?」

「お化け余裕とか言っていたけど、余裕じゃ無かったわね笑。」

「そ、それは!予期せぬハプニングです!!」

「ほんとぉ?笑」

「ほんとです!」

私は話しているうちに気付いた。何故先生は今もなお手を握り締めているのか…。

あえて突っ込む事はしない。

けど…。

もしかして先生…。
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