L'a maro e dolce amaro ~甘くて苦い恋の味 ~
-ピンポンパンポーン-
-伊野先生伊野先生、105教室迄お戻り下さい。伊野先生105教室迄お戻り下さい。-
-ピンポンパンポーン-

「あっ…。もしかして1時間半たった…?」

綿あめを食べている先生の手が止まった。

「えっ、あ。はい。多分経っていると思います。」

腕時計を見ると2時を少し回った所。先生と周り始めたのが12時半位だったからそれくらい経っている。

「あちゃー…。」

「何が“あちゃー…。”なんですか?」

何となく嫌な予感はする。でも、口にする事は出来ない。してはいけない気がする。

「あのね、顧問が持ち場を離れて良いのは1時間半だけなんよ。」

「そうだったんですか…。」

私は礼法部に所属してる。文化部ではあるが、礼儀作法を学ぶ部活なので文化祭での発表はしない。

だから顧問が持ち場を離れていい時間があるとは思いもよらなかった。

「なんか貴重な時間無駄にさしてしまった感じで…。すみません。」

「そんな事ないよ!あゆむさん達と回れて楽しかった!笑」

そう言うと先生は笑顔で手を握ってくれた。

1度だけでは無く2度までも…。

暑くなってきた…。

「わ…私も、回れて楽しかったです。」

「あらー、照れちゃって笑」

「うるさいですよ?」

精一杯天邪鬼の私を振り払って言ったのに。そんな言い方は酷いよ先生…。

いや私も酷いか。
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