L'a maro e dolce amaro ~甘くて苦い恋の味 ~

下校の際の注意点

誰にだって悩みはつきもの。勉強や家のこと。恋愛だってそう。

特に今はデリケートな時期だから、気に触れない様な会話をする。

でも、たまには思っていることを素直に言うのも大切。

そうでもしないとバランスが保てないでしょ?

…人には言える。心の中でもそう思っているのに、素直になれない。行動に移せない。

あー。やきもきする。

「藤咲、何物思いにふけっているんだ?」

「んー、別に?強いて言うなら、祥香ちゃんとじっくり話せて良かったなぁ。と思っている。」

思っている事本音で言えたから良かったよ。

「私も藤咲と話せてよかった。」

「お互いの事知れて良かったしね。」

「そうだな笑。…さっ、そろそろ帰るか。」

「え?もうそんな時間?」

教室の時計を見ると5時を少し回った所。

6限目が終わってからだから大体1時間半話している。

気が付か無かったが、窓から見える景色は徐々に藍色に染まってきていた。

「もうこんな時間だったんだ。結構話したねぇ。」

「そうだな笑。…急いで準備しようか。そろそろ先生達が見回りに来る時間だし。」

この時期は下校時刻が5時半。大体5時を回れば戸締りの確認の為に先生達が見回りに来る。

見つかると面倒では無いが、早く帰れと催促をされる。下校時刻を過ぎるのは厳禁だ。

こう言ったところで女子校と感じる。

「少し位は大目に見て欲しいよねぇ…。学校で勉強する方が落ち着く子も居るのに。」

「仕方無い。ほらグズグズすんなって。」

「ううっ…。」

「早く早く。」

「分かった分かった。準備するから急かさないでよ。」

と言っても私はもうジャケット着れば帰れるんだけど。(制服はブレザーなの。)

祥香の方が準備出来てないけど…。
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