L'a maro e dolce amaro ～甘くて苦い恋の味 ～

「あんまり勉強しなかったね笑｡」

ジャケットを着ながら苦笑する｡

「今日は勉強目的で集まった訳じゃないから､良くないか？」

筆箱をバックに入れながら呟く祥香｡

「一抜きとでも思っておこう笑｡」

「そうだな｡…よしっ､準備出来た｡帰ろう｡」

「お､出来たね｡行きましょ行きましょ｡」

「なんか待たせたな笑｡」

「別にいいよ笑｡」

笑いながら扉のドアノブに手をかけた時､廊下側から誰かが突然扉を開けた｡

と思ったら向こうが勢いあまりぶつかってしまった｡

「いったー…｡」

「ごめんなさい！あゆむさん大丈夫…？」

聞き覚えがある声｡ふと見上げると､ぶつかった人は文先生だった｡

「先生？相手藤咲ですよ？大丈夫に決まってます｡それより先生はお怪我ありませんか？」

「祥香ちゃん？何勝手にスラッと変な事言ってるの？」

「私は大丈夫だけど…｡」

あ､ツッコミ流された｡

「それより2人は勉強？」

「そうですよ｡もう入試まで2ヶ月切りましたし｡」

「これから全力で勉強に注ぎ込まないと他の受験生に負けます｡いくら理数科があるかと言って､ここ数年は理系あまり出てませんよね？だから余計に頑張らないとダメです｡」

改めて祥香の意気込みは凄いものだと感じた｡

「私も…｡文系でいくら合格安全圏内だからと言っても妥協は出来ません｡」

「2人とも頑張ってるねぇ笑｡」

関心をしているのか､教師としての優しさなのか分からないが､同調をしてくれる先生｡

頑張らないとならない戦だ｡