L'a maro e dolce amaro ~甘くて苦い恋の味 ~
「さ、そろそろ下校時間になるから。」

時計を見ると5時半の5分前。

「バスそろそろじゃない?」

近くに電車は通っておらずバスが走っているだけの場所。

しかも30分に1本なので中々の不便さだ。

でもバス停は目の前なのが有り難い。

「藤咲帰ろっか。」

「うん。」

「気をつけてね。」

笑顔で呟く先生。…やっぱり可愛い。

「ありがとうございます。あ、先生。」

「何あゆむさん?」

「明日の木曜日…。聞きに行ってもいいですか?」

本当は大丈夫だけど行ってみる。

でも何だかんだ言って、個別で教えてもらった事無い。

色んな事を話せるチャンスだ。

「明日?確か何も無いはずだから大丈夫だよ笑。」

「本当ですか?」

「ええ笑。」

「では明日お願いします。」

「はーい了解。場所は職員室でいいかな?」

「はい。」

「私も行ってもいいですか?」

「祥香ちゃんも?」

「私はいいけど、あゆむさんはどう?」

祥香…多分分かってくれてる。

「大丈夫ですよ。」

「じゃあ、明日職員室で待ってるね笑。」

「はい。ありがとうございます。」

「藤咲そろそろバスの時間が危ないぞ?」

「えっ?…本当だ。急ごう!」

「気をつけて帰ってね笑。」

「ありがとうございます。さようなら。」

-キーンコーンカーンコーン-

丁度よいタイミングでチャイムが鳴る。

私達は急いで校舎を後にした。
< 74 / 105 >

この作品をシェア

pagetop