L'a maro e dolce amaro ~甘くて苦い恋の味 ~
いやそれ以前に、なぜ祥香が知ってるかが謎だ。

仮にこれが2月3月だったら、風の便りで知っていても不思議じゃない。

今は11月。なんでこの時期に知っているんだ…?

「ねぇ。なんで祥香ちゃんは先生が退職するって知ってるの?」

「あれ?言ってなかったか?父親とここの前校長、友人同士なんだよ。だからここの裏事情ぜーんぶ知ってる。」

「そーなんだ…。」

思いの外凄い人と繋がっているのね…。

「いやでもさ、辞めた人でしょ?私その校長知らないって事は、少なくとも3年以上はこことは関わり無いんじゃ…?」

「その前校長、理事長と繋がってるんだ。」

「あの理事長と?」

「らしい。詳しい事は余り聞かされてないからよく分かんないけど。」

「へぇ…。」

「昨日さ、帰って早々父親が『 おい、伊野先生辞めるらしいぞ。』って言ってきたから、藤咲にだけは伝えないといけないと思った。」

祥香。その優しさ、今の私にはつらいよ…。
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