厄介なkissを、きみと ー fairy tail ー
「あ。また、寝癖」
教室に入るなり、ハルトに髪を引っ張られた。
もちろん、ピョンとはねた部分を。
「直らないから」
引っ張られた部分を手で撫でつける。
とりあえず、気にしている素振りはするけど。
ホントのところ、そこまで気にはしていない。
「おはよう。……あ。ここ、またはねてる」
教科書の詰まった鞄を机の上に置くなり、隣の席の後藤さんに笑われる。
後藤さんは、自分の頭の右サイドを指でツンツンとさしていた。
「うん。直らなかった」
「そうなんだ」
「うん」
直らなかった、じゃなくて、直してないと言ったほうが正しい。
オレ自身、寝癖のひとつやふたつあったって、べつにかまわないと思ってる。