厄介なkissを、きみと ー fairy tail ー
「おーい、翔平ー!」
声のした方を見れば、隣のクラスのタケルがズカズカと教室に入ってくるのが目に入った。
「なに?」
「今日、おまえんち行っていい?」
タケルは挨拶もそこそこに、椅子に腰掛けていたオレの肩を抱いてそう言った。
「べつに、いいけど」
重たい、と言いながらタケルの腕をほどく。
タケルは、ピョンとはねたオレの髪を指で弾くと、
「んじゃ、帰ったらソッコーで行くからさ」
と言ってニヤリと笑った。
「……わかった。けど、ホントにオレんちでいいの?」
「なんで?いいから言ってんじゃん」
「……そっか」
タケルはそれを言いにきただけらしく、じゃあなと言うと、サッサと教室を出て行ってしまった。
なにかあったんだろうか。
タケルと遊ぶときはいつもタケルの家に集合だった。
『おまえんちまで行くの、面倒』
なんだとか。
大した距離でもないのに。