病弱白うさぎに愛を。
「ここは………俺の家。ごめんね、勝手につれこんじゃって。」


 そういうと彼は私の方に近寄ってくる。


「体調は、もう大丈夫?」



 その一言で、私は思い出した。

 学校帰りに具合が悪くなって意識を失ったことを。


「ご、ごめんなさい、私、その………」

「気にしないで、大丈夫。それより、名前を教えて?」


 安心させようとしてくれているのか、腰を屈めて、私の頭を撫でてくれる。

 この人は危ない人じゃない。そう思った。


「………栞(しおり)、です。兎川、栞と言います。」

「そっか、栞、栞、ねぇ………」


 繰り返し私の名前を呟く。

 なんとなく恥ずかしくなって枕に顔を埋めた。
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