アナタと洒落た人生を
二章 過去は振り返らない~真理side~
私は宮崎真理(ミヤザキマリ)
今は高校を卒業し社会人二年目を迎えていた。
年齢は20歳。高校卒業した後も後輩の三人とは良く会うようにしている。
そんな私は会社の上司、武居正直(タケイマサナオ)さんと結婚する予定である。
優しい人でプロポーズされた時は本当に心の底から嬉しいと思った。プロポーズの内容は小説などでよくあるありきたりな言葉で…しかも緊張の余りに噛んだり…
でもそんな彼が大好きな私は泣きながら了承した。
私は今晩、正直さんと外食の約束をしていた。
だからその前に、とショッピングの最中だった。
えっと……あ、あれ新作かな
なんて一人でブツブツ思いながら買い物をしていた。
その買い物最中、私は一番会いたくない人に会った。
「真理」
低い声ではあるが通る声の二年前以来聞いていない声。
「ち、千歳…?」
ゆっくり振り返るとそこには制服を乱して着ている男子が立っていた。ソイツは私の後輩であり、私が高3の時の彼氏、つまり元カレというやつだ。
最悪だ。今結婚目前にして一番会いたくない元カレに会ってしまった。いつか会うとは思っていたが…
「真理…久しぶり」
「久しぶり」
元カレこと大谷千歳(オオタニチトセ)は淡々と私に話し掛ける。
私は千歳に話すことなんて何もない。だからこの場を去ろうと思った、その時。聞きたくない言葉を千歳の口から聞くことになった。
「お前、結婚するんだってな、会社の上司と」
「…は?なんでそれを貴方が知ってるの?」
「なんでもいいだろ?んなこと、いちいち」
「言いわけないでしょ」
「何、俺には知られたくなかったわけ?」
私は黙ってしまった。
確かに知られたくなかった。元カレになんか。
「んだよ、図星かよ」
千歳はそう言いながら頭を掻いていた。余裕そうな相手の態度に腹が立つ。私には余裕なんてない。知られたくなかったことが知られていて…意味がわからない。早くこの場を去りたいとただただ思って頭が言うことをきかない状態だった。
「図星だったら何、貴方には関係ないでしょ」
私の口からは皮肉に似た文句しか出てこなかった。
正直こんなに喧嘩腰で彼と話したいわけではない。普通に久しぶりだねって話しがしたいだけなのに、気持ちと、口と、感情がそれを私自身を許してはくれなかった。
「そうだけど…お前、どんだけ俺を避けたいんだよ。別れたら友達とかには戻れないのかよ…」
「私には無理って言ったでしょ、友達に戻るとかそんな中途半端なことはしたくないの、じゃ」
私は淡々と負けじと言葉を相手に投げつけ歩き出した。
言葉のキャッチボールなんていうのは出来てなかった。むしろキャッチボールなんて最初の久しぶりからまともに出来てないんだと思う。
とにかく気分は最悪だ。でも今日は正直さんに会う。
気持ちを切り替えていこう。大丈夫、大丈夫だ。
⇨⇨⇨
夜になり私は待ち合わせ場所に向かう。
20分前にもかかわらず正直さんは既に待ち合わせ場所にいた。
「正直さーん!」
正直さんは腕時計から私の声のする方へ顔を向け、ニコッと笑い手を振ってきた。
「早いですね、真理さん」
「いやいや!正直さんこそ!」
「ふふ、僕は真理さんがいつも出勤20分前に会社に出勤してるのを知ったんでもしかしたら待ち合わせ場所に20分前に来たりするのかと思って少し早めに待機したんです。でも、今来たところだったので丁度良かった」
正直さんは私にそう楽しそうに笑いながら話し掛けてきた。私はそんな腰が低い彼の態度や声、全てが好きだ。
部下の私に腰が低く同じ目線から物事を取り組んでくれるのは彼一人だと思う。
「では行きますか?」
「あ、はい!」
私は正直さんの差し出された手を繋ながら彼の家へ向かった。彼の家へ行く途中、正直さんは楽しい話、驚いた話、自分が部下だった頃の話、たくさんのことを話しながら笑いながら向かった。
その頃の私には千歳の存在などすっかり忘れていた
今は高校を卒業し社会人二年目を迎えていた。
年齢は20歳。高校卒業した後も後輩の三人とは良く会うようにしている。
そんな私は会社の上司、武居正直(タケイマサナオ)さんと結婚する予定である。
優しい人でプロポーズされた時は本当に心の底から嬉しいと思った。プロポーズの内容は小説などでよくあるありきたりな言葉で…しかも緊張の余りに噛んだり…
でもそんな彼が大好きな私は泣きながら了承した。
私は今晩、正直さんと外食の約束をしていた。
だからその前に、とショッピングの最中だった。
えっと……あ、あれ新作かな
なんて一人でブツブツ思いながら買い物をしていた。
その買い物最中、私は一番会いたくない人に会った。
「真理」
低い声ではあるが通る声の二年前以来聞いていない声。
「ち、千歳…?」
ゆっくり振り返るとそこには制服を乱して着ている男子が立っていた。ソイツは私の後輩であり、私が高3の時の彼氏、つまり元カレというやつだ。
最悪だ。今結婚目前にして一番会いたくない元カレに会ってしまった。いつか会うとは思っていたが…
「真理…久しぶり」
「久しぶり」
元カレこと大谷千歳(オオタニチトセ)は淡々と私に話し掛ける。
私は千歳に話すことなんて何もない。だからこの場を去ろうと思った、その時。聞きたくない言葉を千歳の口から聞くことになった。
「お前、結婚するんだってな、会社の上司と」
「…は?なんでそれを貴方が知ってるの?」
「なんでもいいだろ?んなこと、いちいち」
「言いわけないでしょ」
「何、俺には知られたくなかったわけ?」
私は黙ってしまった。
確かに知られたくなかった。元カレになんか。
「んだよ、図星かよ」
千歳はそう言いながら頭を掻いていた。余裕そうな相手の態度に腹が立つ。私には余裕なんてない。知られたくなかったことが知られていて…意味がわからない。早くこの場を去りたいとただただ思って頭が言うことをきかない状態だった。
「図星だったら何、貴方には関係ないでしょ」
私の口からは皮肉に似た文句しか出てこなかった。
正直こんなに喧嘩腰で彼と話したいわけではない。普通に久しぶりだねって話しがしたいだけなのに、気持ちと、口と、感情がそれを私自身を許してはくれなかった。
「そうだけど…お前、どんだけ俺を避けたいんだよ。別れたら友達とかには戻れないのかよ…」
「私には無理って言ったでしょ、友達に戻るとかそんな中途半端なことはしたくないの、じゃ」
私は淡々と負けじと言葉を相手に投げつけ歩き出した。
言葉のキャッチボールなんていうのは出来てなかった。むしろキャッチボールなんて最初の久しぶりからまともに出来てないんだと思う。
とにかく気分は最悪だ。でも今日は正直さんに会う。
気持ちを切り替えていこう。大丈夫、大丈夫だ。
⇨⇨⇨
夜になり私は待ち合わせ場所に向かう。
20分前にもかかわらず正直さんは既に待ち合わせ場所にいた。
「正直さーん!」
正直さんは腕時計から私の声のする方へ顔を向け、ニコッと笑い手を振ってきた。
「早いですね、真理さん」
「いやいや!正直さんこそ!」
「ふふ、僕は真理さんがいつも出勤20分前に会社に出勤してるのを知ったんでもしかしたら待ち合わせ場所に20分前に来たりするのかと思って少し早めに待機したんです。でも、今来たところだったので丁度良かった」
正直さんは私にそう楽しそうに笑いながら話し掛けてきた。私はそんな腰が低い彼の態度や声、全てが好きだ。
部下の私に腰が低く同じ目線から物事を取り組んでくれるのは彼一人だと思う。
「では行きますか?」
「あ、はい!」
私は正直さんの差し出された手を繋ながら彼の家へ向かった。彼の家へ行く途中、正直さんは楽しい話、驚いた話、自分が部下だった頃の話、たくさんのことを話しながら笑いながら向かった。
その頃の私には千歳の存在などすっかり忘れていた